サヨナラ(涼←拓)

イギリスへの便がもうすぐ到着する。これで日本とはしばらくお別れだ。それと……
「藤原……」
そう呼ぶ声はプロジェクトDの仲間だった涼介さんだ。もうすぐフライトの時間だ。
「頑張れよ。互いに夢を叶えてまた会おう」
「はい。涼介さんも。それじゃ、サヨナラ」
オレは涼介さんのことがずっと好きだった。Dのエースと言われて嬉しかったし、一緒のチームで走れるのが楽しかった。しばらく一緒にいるうちに涼介さんの事がどんどん好きになっていった。
でも。涼介さんには忘れられない人がいて。オレはその人の代わりにはなれなくて。だから、この恋心には訣別をしなければならないのだ。
「サヨナラ、涼介さん。ずっと、大好きでした」
そう。オレは涼介さんへの恋心とも”サヨナラ”したのだ。絶対に交わることのない平行線の恋心に。飛行機が離陸した。これで本当にサヨナラだ。拓海は、窓の外を見ながら静かに一筋の涙をこぼしたのだった。