「なぁなぁ、拓海ってぇ好きな女の子いねーの?」
「ぶっ……お前いっつも唐突だなぁ。……いねーよ」
「フーン。オレはなー同じクラスの洋子ちゃんだろー?んで隣のクラスの……」
「イツキ、お前何人好きな女いるんだよ……」
「オレはねー博愛主義なの!どんな女の子も愛す!それがオレ!くぅ〜!罪な男だぜ!」
イツキはいつものように両手を握りしめ片足を上げながら言った。
「拓海も恋しろよー?青春なんてあっちゅーまにすぎちまうからな!……あ、チャイムだ!急げ拓海!次は鬼教官の体育だぞ!!」
そういうとあっという間にイツキの姿は見えなくなった。
「オレ、好きな女はいねーけど、イツキの事はそういう意味で好きなんだけどな。イツキに言っても引かれそうだからぜってー言ってやんねーけど」
女なんて目もくれずオレだけに夢中になればいいのに。こんなに長く一緒にいるのにイツキのやつ鈍すぎなんだよ……なんてことをぼんやり考えていたら案の定体育に遅刻して大目玉を喰らう拓海だった。